【Blog 経営ノート⑱】銀行の貸し渋り・貸し剥がしに怯えない経営

銀行の貸し渋り・貸し剥がしに怯えない経営とは・・・・・?

 

2021年5月19日、改正銀行法が成立しました。

 

銀行と融資取引のある中小企業にとって、この出来事は看過できない大事件です。

コロナ禍で市場が大荒れとなっている時期に何故、銀行法が改正されるのか?

銀行法の改正によって、今後、銀行が変貌していくことになります。

 

変貌していく銀行は、付き合い方を間違えなければ中小企業にとって頼もしい協力者となっていくことでしょう。

でも、従来の固定概念から離れられず間違えた付き合い方をしてしまうとどうでしょうか?

もしかしたら“絶句するほどの難局”を運んでくる存在になるかもしれません。

 

今回の改正により銀行は業務の規制が緩和されます。

ITシステムの販売、登録型人材派遣、データ分析、広告ビジネスなどが認められることになります。

そして事業会社への出資上限規制が緩和されます。

非上場企業に100%出資が可能になります。この規制緩和により、超低金利により収益悪化に苦しんでいた銀行は収益増加の機会を手にするのです。

 

今回の銀行法の改正によって起こるインパクトは、決して小さくはありません。

“再編・流動化の加速”そして“弱肉強食の拡大”そして“新しい変化”が国内市場に近づいています。

 

このような時流を考えたとき、多くの経営者の頭によぎることが“銀行融資の貸し渋りと貸し剥がし”ではないでしょうか? 

 

財務体質が堅固な企業であればいつでも必要な時に銀行融資を調達できるのですが、長引くコロナ禍で多くの企業の財務面は弱体化しています。

油断はできない時代ですから、マサカに備えておいたほうが無難です。

 

では、銀行の貸し渋り・貸し剝がしに怯えないために経営者はどのような手を打っておくべきでしょうか?

本稿では、業種に関わらずすべての中小企業にとって役に立つ根本的な打ち手について論じていきます。

 

 

まず打ち手の話を実際に活用できるようになるための必要な前提知識を挙げておきます。

銀行取引を円滑にするため観点

・銀行を不安にさせない: 業績推移、銀行取引状況、事業展開計画などの情報を定期的に銀行に提供し、コミュニケーションの頻度を保つ

 

・借入依存度を制御する: 自社の財務分析を精緻に行い、顧問税理士とよく相談して、融資残高と現預金のバランスを乱さない財務計画を立てる

 

・収益を増やす戦略をとる: 使える情報の収集に全力を傾け、着実に収益を増やせる戦略を立て、事業展開計画に織り込む

 

上記の3つは、初めてチャレンジするときは、とても困難だと思いがちですが、他社の事例を参考にしつつ顧問税理士や経営改善支援をしている経営コンサルタントの

外部情報を活用すれば、決して不可能ではありません。

極論すると、慣れさえすれば、やり方さえ知れば、どの企業でも実行できるようになります。(一定の苦労と努力は避けられませんが)

この前提について、難易度が高すぎると思う方には、弊社の  経営企画機能支援プログラム  を活用して経験値を挙げていくという方法もあります。

 

 

 

以上の前提を踏まえ、銀行の貸し渋り・貸し剝がしに怯えないために役立つ根本的な打ち手を挙げます。

これからの中小企業に必要な3つの打ち手

 

【優良顧客の発掘】

2020年に発生した新型コロナウィルスパンデミック。この人類史に刻まれたブラックスワンが突如出現したことによって、人類の価値観が一変しました。

そして顧客の価値観も大きく変化しました。その変化のトレンドをしっかり見極めたうえで「自社の製品・サービスを価格を気にせず熱狂的に購入する優良顧客」を明確にします。

どうやって優良顧客を明確にするのか?

そのためには初めに自社の製品・サービスが備えている「解決力」を考えられる限りすべて洗い出します。

洗い出したすべての解決力の中から、今の市場に存在する、なるべく“深刻な悩み”を導き出していき、その悩みを抱えていそうな顧客層を具現化していくのです。

 

ターゲットが明確になったら、具体的な発掘行動に進みます。

発掘行動とは、営業アプローチです。

「〇〇のような悩みを解決できるのが、弊社の製品・サービス◇◇◇です!」という切り口でターゲットにアプローチするのです。

アプローチの具体的な内容は、①HPの画像・文章の修正。②広告の表示内容の修正。③製品・サービスのネーミングの修正などです。

 

この優良顧客の発掘アクションが、しっかりやっていると思っていながらも、少なからず間違っているケースが散見されます。

そのため、弊社のコンサルティングを導入した企業が劇的に蘇生して周囲を驚かすという好事例が生み出されてくることになっています。

 

 

【伝達力の強化】

必要な情報を、必要な相手に適格に伝達する能力。それがが伝達力です。

この能力が優れている企業は、想定外の逆境に直面しても倒産することはありません。頻繁に取引のない銀行から新規融資の提案が舞い込んできます。堅調な業績を維持しており、社員の成長意欲が高く活気に溢れています。

どうすれば伝達力を強化できるのか?

実は、伝達力の強化は、難易度が低くはありません。間違えたやり方をしてしまうと、エネルギーロスを積み重ねていき、迷走します。ですので、できれば外部ブレーンの力を活用することをお勧めします。

尚、この力の概要は、 経営ノート特別版 コロナ禍における中小企業の生き残り戦略  でも触れていますので、良ければご一読ください。

強化が容易ではない伝達力ですが、先のことを見据えて、取り合えずTwitterとYouTubeによるマーケティングアクションをしておくことをお勧めします。

TwitterとYouTubeを使用してビジネスの効果を引き出せている企業は、あまり多くはありません。でも、正しく使えば確実に効果を引き出すことができます。

コロナ禍により、TwitterとYouTubeの効果は想像以上に増大していますので、まずは試行錯誤のチャレンジ程度でいいので動かすことが重要です。

 

 

【社員賞与のコミットメント】

この打ち手が、実は最も重要です。

社長と社員の認識において、大きなギャップがお金の問題です。

このギャップが大きい場合に、社員の生産性は低迷し、離職率が悪化していきます。

業歴数十年以上の長寿で、高収益を実現している中小企業は、このギャップが小さいです。

お金についてのギャップが小さいことから、経営理念もしっかり浸透しており、社員の帰属意識が高く生産性も良いのです。

 

お金の話を持ち出すと、ほとんどの経営者は「当社にはそんな余裕はない。無理だ。」と嘆かれます。そこで本稿ではすべての中小企業で実施可能な打ち手をお伝えします。

 

すべての中小企業で実施可能な社員賞与のコミットメントの打ち手は、“ 未来のお金 ”を使うことです。

半期もしくは全期の業績において、経常利益(営業利益ではありません)が、会社が必要とする額を超えた場合に、超えた金額をすべて賞与で社員に配分することにして社員に発表するのです。

当然ですが、必要な経常利益額は妥当な水準でなければなりません。従って、目標額の算出は、顧問税理士もしくは当社のような経営ブレーンと十分協議して計算しなければなりません。

 

妥当な水準の目標額を設定し、社員に公表した瞬間、会社の空気が変質します。実際にやってみるとわかりますが、社員達の顔つきが輝きだすのです。

 

身も蓋もない話をしますが、給与をもらう立場にいる者は、全力を出しません。必死なようで、どこかに余力を残しています。

どれだけ危機感を伝えようと、人事評価を厳格にやろうとも、会社のことは「他人事」です。会社の業績が低迷してきたら、優秀な社員ほど速やかに内内で転職活動にウェイトを置きだします。

 

理想と現実は違うのです。しかし、この賞与のコミットメントの打ち手は、現実を理想に近づける威力があります。

“妥当な目標経常利益額”を提示したとき、社内のある層の人材が気付くのです。「会社は、本気だぞ。」と。

 

 

 

以上、3つの打ち手について概略をお伝えしました。

これらのアクションを行うに際して、もしも自力では難しいと思う場合には、弊社の  企業力強化コンサルティング のような経営支援サービスを活用するのも有効です。

打ち手を実施するときには中期事業計画に明記し、融資取引銀行にも伝えておきましょう。

タイミングが合っている場合に限りますが、銀行から価値の高い助言がもらえる場合があります。

 

中小企業と融資取引銀行の関係は、熟年夫婦の関係で観るといいかもしれません。

夫が融資の借り手で、妻が銀行です。

貸し渋りや貸し剝がしは、突如、妻から切り出される熟年離婚に似ています。

 

出現が突然ですが、実は、何年にもわたって水面下で失望や不満が蓄積されています。蓄積が限度を超えたとき、タイミングを見計らって宣言されるのです。

銀行取引は、失望させないことが肝要です。銀行を失望させない企業は、耐久性が強く、逆境に直面しても活路を開いていけます。

 

間近にせまった東京オリンピック。その後の日本経済がどうなっていくのか?判断が難しいところです。

これからがどうなっていくにしても、生き残っていく企業と淘汰される企業を分けるのは、変化に飲みこまれず変化を成長のエネルギーとして使うことができるかどうかに係っています。

いよいよ、経営者の手腕が試される時代になってきているのではないでしょうか?